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宮城教育大学学長 松岡 尚敏
2024年4月より、改正障害者差別解消法が施行され、障害のある方の入学や入室は認めないといった「不当な差別的取り扱いの禁止」や、障害のある方が対等に参加できるよう「合理的配慮不提供の禁止」などを義務付けるものとなりました。第6条第1項の規定に基づき政府が策定した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」によれば、合理的配慮は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されています。また、文部科学省に「障害のある学生の修学支援に関する検討会」が設置され、2024年3月には「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)」が取りまとめられています。
本学では、平成16年度以降長きにわたり全学的なしょうがい学生支援体制の充実に取り組み、「国立大学法人宮城教育大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程」を定めています。その中で「学生への不当な差別的取扱いに当たり得る具体例」や「学生への合理的配慮に該当し得る配慮の具体例」を示している他、しょうがい学生支援をテーマとした教職員対象の研修会を定期的に開催するなど、しょうがいのある学生の支援体制の構築に努めています。また、平成18年度より、独立行政法人日本学生支援機構が中心となっている「障害学生修学支援ネットワーク」の拠点校として、しょうがい学生支援の体制整備を進める全国の大学等からの相談に応じています。さらに、平成27年度からは宮城県内の大学・機関等と「在仙大学障害学生支援大学間ネットワーク情報交換会」を実施し、県内の大学・機関等とのしょうがい学生支援に関するネットワーク構築にも注力することで、地域全体のしょうがい学生支援の底上げにもつなげています。
このように本学が宮城・東北・全国からの幅広い相談に対応できるのは、すべてのしょうがい領域の専門家が揃っている全国でも数少ない教育大学だからです。特別支援学校・特別支援学級に留まらず、どの現場でも特別支援教育の素養を持った教師がより求められる時代となりました。今後もしょうがい学生支援室を学内外多くの皆さまにご理解いただき、併せて一人でも多くの学生がしょうがい学生支援活動に参加することを願ってやみません。
宮城教育大学連携担当理事・副学長
しょうがい学生支援室長 佐々木 利佳子
学生主体のボランティア活動から始まった、本学のしょうがいのある学生に対する支援は、その活動を大学が受け継ぎ、学生と教職員が一体となって支援を行っているのが本学の一番の特色だということができます。
『しょうがい学生支援室』には、各しょうがいに対応できるよう、本学の特別支援教育5領域に対応するスタッフが、それぞれのしょうがい部会の部会長となり、そのもとに学生運営スタッフおよびボランティア学生がチームを組んで日常的な支援を行っています。また、しょうがいのある学生に対する支援に関して、専門的な知識・技術を兼ね備えた優秀なコーディネーターが常駐し、学生からの相談、ボランティアの研修、ボランティア派遣の調整、講義保障のための技術的支援など様々な業務に当たるなど、しょうがいのある学生の修学環境を整える支援を行っています。
共生社会の形成のためには、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、そしてインクルージョン(包摂性)の実現に向けた取組を推進していくことが求められますが、本学において、しょうがい学生支援室は、その中核となるものであり、これまでの実績に対して高い評価を得ています。
このような中で、本学の学生が、主体的・積極的にボランティア活動を通して、しょうがいのある学生に関わることは、今後、インクルーシブ教育システム構築のために力を発揮するとともに、すべての児童生徒の力を引き出し、豊かに生きることができるよう支援する教師として活躍することにつながるものと期待しています。
しょうがい学生支援室は、これからも、しょうがいのある学生と共に歩み、修学環境のさらなる充実に向けて邁進してまいりますので、今後ともよろしくお願いします。